東京の鍾乳洞「大岳鍾乳洞」 2

 私は以前に武蔵五日市を訪れたことがある。六年ほど前だろうか。タクシーを使って近くのギャラリーに行き、織物の展覧会を見に行った。

 その時は帰りの電車まで時間があったのでそれまで秋川渓谷で遊んていた。日曜日で河川敷に沢山の家族がいたことを覚えている。

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 しかし、この日は平日である。コロナの影響もあってか川に人は少なく、渓流釣りを楽しむ釣り師がいる程度だった。私はしばらく川沿いを散策し、武蔵五日市駅に戻る。


 武蔵五日市駅に戻っても、特にやることがあるわけではない。駅には小さな観光案内所とコンビニ、そしてカフェがあるだけだった。カフェはまだ開いていないし、大人しくバス停でバスの路線図を眺める。

 武蔵五日市からは北以外の三方向にバス路線が伸びている。まず東方向は五日市線に平行するように進むバス路線。秋川や拝島行きがあった。帰りに電車の時間が悪かったら使うかも知れない。拝島まで出れば西武線青梅線で帰れる。南は八王子へ向かう便。これも使えそうだった。そして西方向に向かう路線。今回使う上養沢行きの他に、数馬など檜原村に向かう路線などもある。

 檜原村は東京都有数の秘境で、東京都では島嶼部以外で唯一の村である。村内を鉄道が通っていない為、公共交通機関で向かう為にはここからバスで向かう必要がある。

 私は自動車免許を持っていない為、檜原村へ行くとなればここからバスに乗るのだろう。


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 上養沢行きのバスがやって来た。10人ほどの人が乗る。ハイキングをすると思しき人がいるが、その人達は上養沢まで行くのであろう。上養沢から御嶽山へ至るルートがあると聞いたことがある。

 上養沢行きのバスは、山道を走るバスが好きな私を満足させた。峠こそ越えないものの山道の連続だった。山道では無いが、荷田子〜秋川渓谷 瀬音の湯間では川沿いの急勾配を登り下りする。特に上り勾配は鉄道ならケーブルカーが担うほどの急勾配で、そこを上る様は圧巻である。

 バスは進むごとに山の方へと高度を上げていく訳だが、意外なことに上っても上っても結構な数の民家があった。乗る人がいなければバス路線は存続しない訳だが、それにしても民家が途切れない。終点の上養沢にしても周辺には六軒以上の民家があったのでは無いだろうか。

 乗客は秋川渓谷 瀬音の湯バス停(同名の温泉施設がある)で数名、三つ合鍾乳洞入り口バス停で数名、そして私の降りる大岳鍾乳洞入り口バス停で私含め二人が降りた。残りは大岳鍾乳洞入り口の次のバス停で終点の上養沢バス停まで。観光客が多いバス路線ということだろうか。



 さて、私は大岳鍾乳洞入り口バス停で降りる。バス停の前には数点の民家。しかも民家の住民が出てきて洗濯物を干していたりした。予想していた程の秘境では無かった。

 大岳鍾乳洞へ向かう前にまずバス停前の神社、「養沢神社」へと向かう。

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旅先でその場所の神社へと参拝して旅行の安全を祈願するのが私のルーティンだった。

 今回もそれを行う。賽銭を入れて安全を祈願する。

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 ……あー、見なきゃ良かった。

 熊注意と言われてもどうしようも無い。熊の接近を防ぐ方法として熊鈴や或いは他人と会話をしてこちらの存在を知らせることが上げられるが、鈴は当然持ってきていないし会話する相手もいない。鹿や猪と違って遭遇したら死を覚悟した方がいいレベルの危険動物だ。余程運が悪くなければ遭遇しないだろうが、それでも気が滅入る。まあここまで来て帰るわけにも行かないし大岳鍾乳洞へ行く訳だが。